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コラムアサーションとは?

アサーションとは?

Qハラスメント問題を未然に防ぐには、社員間のコミュニケーション力のアップが必要だと考えています。最近それらに有効だということで、アサーションあるいはアサーショントレーニングという単語をよく耳にしますが、どのようなものなのでしょうか。
Aここ数年、コミュニケーション研修の場面で、取り入れられることが多くなったアサーティブ(アサーション)・トレーニングですが、確かにハラスメント防止のための効果も期待できると考えています。今回はアサーティブネスの考え方と、ハラスメントの関係について述べたいと思います。
  1. アサーティブネスの歴史「アサーティブネス」を日本語に訳すと「自己主張すること」となります。もともとは1950年代のアメリカで「自己表現に問題がある人々が、どのように自己主張すれば心理的なストレスを回避することができるか」という、行動療法の一環として開発されました。この考え方はその後、1960年代の黒人の人権擁護運動、1970年代の女性解放運動を経て、「人間であれば誰でも自己表現の権利を有する」という、人間性回復の思想として発展してきました。
    現在では、社会的弱者が自己主張するためのスキルにとどまらず、さまざまな立場の人が、自分の気持ちや要求を適切に伝えるためのスキルとして、教育研修に取り入れられています。
  2. アサーティブネスとは「アサーティブネス」を「自己主張すること」と訳すると、日本語のイメージから、人の話を聞かない、主張ばかりする人を想像するかもしれません。しかし、ここでいうアサーティブネスには「相手を尊重しつつ、自分の感情や要求を誠実に率直に対等に伝えることができる態度やものの考え方」という意味も含まれています。
    アサーティブネスの考え方が発展したアメリカは、多民族多文化の社会です。その中では、自らの主張をするとともに、相手の主張を尊重することができなければ、社会が成り立っていきません。決して自分の立場だけを主張するのではなく、どちらが正しいか正しくないかではなく、お互いを同じ人間同士として、その存在を尊重する態度がアサーティブネスの根本的な思想です。

    そして、アサーティブなコミュニケーションとは、何か考え方の違いや仕事のやり方の違いがあったとしても、その違いを尊重しつつ、自分の感情や要求を率直に伝え、考えを押し付けることなしに、一番いいやり方を対話することによって探っていこう、とするコミュニケーションありかたのことを言います。
  3. ハラスメント問題とアサーティブネスハラスメント問題でのアサーティブネスの効用としては、弱者(被害者)の立場での自己主張のスキルを向上させることができる、という点が挙げられます。
    「先輩からの食事誘いを断れずに、受け入れているうちに、自分も相手に好意を持っていると勘違いされてしまった」、「上司が注意をするときに、必ず自分の過去のミスを持ち出すので、それが嫌で胃が痛くなる」というような事例の場合です。 職位の違いはあっても、人としては対等であること、自分の気持ちに誠実になること、相手の立場も尊重しながらも、率直に「食事にはおつきあいできません」「過去のミスを持ち出されるのがつらいんです」など伝えるスキルを学ぶことで、大きなハラスメントに発展する前に、問題解決ができるのではないでしょうか。

    また、ハラスメントの予防という視点で考えると、管理職など部下を指導する立場の人が、アサーティブなコミュニケーションを身につけることが最も有効です。ハラスメントの事例を聞くと、多くの場合、指導や教育の場面での伝え方に問題があるものです。そのため、何度言っても理解しない部下に、いら立って暴言を言ってしまったり、いたずらに威圧感だけを与えてしまったりした結果、部下にハラスメントだと受け取られている例が多くあります。

    部下であっても人として対等なのだ、という心の姿勢を崩さず、伝えたいことの的を絞って、たとえそれがマイナスな情報であっても率直に伝えるスキルを身につけることで、このような行き違いからのハラスメントを避けることができるのではないでしょうか。

    アサーティブネスの考え方とそのスキルは、人権の意識を高め、職場の風通しを良くするためにぜひ取り入れていってほしい考え方です。次回は研修での導入についてご紹介したいと思います。
    (参考文献)
  • アン・ディクソン著「第四の生き方」 つげ書房新社(1998)
  • 森田汐生著「気持ちが伝わる話しかた」 主婦の友社(2010)

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