アーカイブハラスメント問題

ハラスメント問題第7回 過剰なまでの期待と準備不足のままでの昇進で・・・

こちらのアーカイブは、職場のハラスメントに関する解説を事例などを交えて記載しています。パワハラ・セクハラ防止研修の教材や職場におけるハラスメント防止の啓発ツールとして、出典を明記の上、ご活用ください。
(出典記載例:株式会社クオレ・シー・キューブホームページ)

知っていますか これもハラスメントです

第7回 過剰なまでの期待と準備不足のままでの昇進で・・・

「私がパワハラしてるって!?」三上洋子(仮名)は一瞬、頭の中が真っ白になった。

課長に呼ばれ伝えられたのは、三上の部下から三上に対し「指導の範囲を超えている」、「人間扱いされていない」とのクレームが上がっているという、寝耳に水の話だった。責任感が強く完璧主義の三上は、粘りと努力の甲斐あって、2か月前、本社で「女性初」の営業主任に昇進した。

入社以来10年余で培った彼女なりのノウハウを、若手社員たちに教えようと張り切っていた矢先のこと。部下は、三上の“パワハラ”のおかげで不眠気味になり、体調を崩している、と訴えているらしい。三上は最近、部下が思うように動いてくれず、たしかにイライラ、カリカリしていた。

昨日は、その部下を別室へ呼び、細かい指示を出していたら、あっと言う間に1時間が過ぎた。「こんなこともできないの?!」、「だからダメなのよ!」と声が荒くなることも。会社の期待に応えて数字を上げるのはもちろん、女性管理職第一号として絶対に失敗は許されない、との気負いが、彼女を追い詰めていた。

彼/彼女らは、本当に “パワハラ行為者”なのでしょうか?

「○○始まって以来」、「△△初」と冠が付けられて、張り切らない人はいないでしょう。誰もが認める実力を伴った上での評価ですから、頑張ってさらに上を目指そう、もっと会社に貢献したい、との意欲に拍車がかかるのも当然です。

しかし、冠が示すがごとく、彼/彼女らには目指すべきロール・モデルがなく、自ら道を切り開いて行かねばなりません。後には引けない、弱音は吐けない、という孤独な“背水の陣”から、心理的負担も重くのしかかってきます。

しかし、彼/彼女らは、本当に “パワハラ行為者”なのでしょうか?

もし、企業側が昇進の準備を整え、日常でも彼女の立場をバックアップする体制が整っていたら、三上さんのような“パワハラ行為者と呼ばれる悲劇”が生まれることはなかったでしょう。貴重な人材が育つ芽を摘みとってしまうことは、会社にとっても避けるべき大きな悲劇です。

*当原稿は、中央労働災害防止協会発行【安全衛生のひろば】2009年7月に掲載されたものです。

志村 翠/岡田 康子

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