ハラスメント・インサイト内的動機づけ(やる気スイッチ)はどこにある?

内的動機づけ(やる気スイッチ)はどこにある?

『ハラスメント・インサイト』は、厚労省や人事院のハラスメントに関する委員会メンバーを歴任してきた弊社取締役・稲尾 和泉による連載です。
今日、人権やジェンダー、雇用形態、雇用環境、経営問題、心理、人間関係など様々な問題と複雑に絡み合っているハラスメント問題に関するインサイト(洞察)を読み解き、今、職場づくりで求められていることを、ハラスメント対策の切り口として示して参ります。

これまでの連載はこちらをご覧ください。

誰もが、公私を問わず「〇〇をやらねばならない」とき、前向きに取り組める時と、そううまくいかない時があります。しかし、職場で部下がやる気なさそうな表情をしていると、上司としては「やる気あるのか?」と小言のひとつも言いたくなるでしょう。ただ、その一言で関係がギクシャクしていくこともしばしば・・・。
いったい仕事の「やる気スイッチ」とはどこにあるのでしょうか。

その手掛かりは「勝手にスイッチが入りっぱなしになる状態は何か?」を深堀すると出てきます。どれだけ時間を使っても飽きない、面白くて時間を忘れてしまうことは何か、あるいはその状態とは?を考えると、それは『内的動機づけ』だと気づきます。
内的動機づけとは、自分自身が興味関心をもって探求できる、内面的な動機づけのことです。誰かに言われなくてもどんどん前に物事を進め、新しい情報を得て自分の力で進んでいける状態になれば、それは自動的にやる気スイッチがONになっているといえます。

一方、外的動機づけは他者からのインプットにより背中を押される状態のことで、親や先生から「勉強しなさい」と言われることや、会社からの報酬や賞罰なども含まれます。やるべき業務と内的動機づけが重なっていればいいですが、企業組織で働く場合それが一致することのほうが珍しく、会社や上司からの外的動機付けによる指示に従うことが多くなります。部下がいうことをきかなかったり、やる気がないように見えたりするときは、業務への不安や不満などだけでなく、部下の内的動機づけが希薄だからかもしれません。

『3年3割』といわれる若年層の離職、転職の背景に、この内的動機づけと業務との乖離があることは否めません。学校教育の中でキャリアについて学んできた世代では、「やりたい仕事ができない」と、目先の業務内容で早々に会社を見切ってしまうのでしょう。とはいえ、部下の内的動機づけを満たす仕事を上司が用意するのは本末転倒。会社が求める業務や能力、期待と、部下自身の興味関心との接点を見つけて、長期的な目標を定める作業を共に行うための時間をとりましょう。それをやらずに「とにかくやれ」とゴリ押しすると、関係性がこじれてパワハラの訴えに転化するかもしれません。

4月は入社や異動による新たな出会いの時期でもあります。自分も、職場のメンバーも、一人ひとりがスムーズにスイッチオンができるといいですね。

2023年4月

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