ハラスメント対策の導入事例・実績一覧株式会社 野村総合研究所 様

導入事例株式会社 野村総合研究所 様

ダイバーシティ推進からのハラスメント対策
~多様性を否定することがハラスメントにつながる!~

多忙なミドルマネージャーに効率的なハラスメント研修を提供

株式会社 野村総合研究所
株式会社 野村総合研究所 様
  • ハラスメント
  • ダイバーシティ・女性活躍・キャリア
  • 提供サービス研修
  • 規模千人~1万人未満

人事部 ダイバーシティ推進課長
人材開発部 DX人材育成グループ
村田 あゆみ 様

人事部 ダイバーシティ推進課
人材開発部 DX人材育成グループ
三井 宏美 様

株式会社クオレ・シー・キューブ 稲尾 和泉

野村総合研究所(以下、NRI)様の経営方針の一つに位置付けられている「多様性」の活用は、クオレ・シー・キューブがこれまで取り組んできたハラスメントフリー®な職場づくりにおける重要なテーマの一つです。私たちはハラスメント防止には、ダイバーシティ推進は必須であるとずっと考えてきました。NRI様はダイバーシティ推進の観点からハラスメント対策に取り組まれており、今回ハラスメント研修を提供させていただくにあたり、両端から歩み続けた今、ここで出会った!という感があります。

研修前に、上層部からハラスメント対策の重要性が強調され、多忙極めるミドルマネージャーのために企画され届けられた今回の「マネジメント向けハラスメント対策セミナー」は、人事部ダイバーシティ推進課による実直な取り組みと、社員のみなさんへの思いの産物です。

今回は村田様と三井様に日頃の取り組み、私共の研修、これからのダイバーシティ推進の課題などについてお話をうかがいました。

経営方針の一つにも位置付けられている「多様性」の活用

クオレ: 貴社の主な事業を教えてください。

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NRI様(以下NRI): NRIの主な事業は、ITの力でお客様のビジネス発展をサポートすること。分析やコンサルテーションに留まらず、実行フェーズまで手掛ける会社であると思っています。長期経営計画では「Vision2022」を掲げ、真に意味あるイノベーションへ果敢に取り組む企業としてのポジショニングを目指しています。
具体的には、金融機関等のビジネス推進を支えるためのシステムづくりを基本として、それに加えてデジタルトランスフォーメーション(DX)として、企業向けにデジタルで新しいビジネスモデルを作っていくことを目指しています。

クオレ: いま、どのような人材が求められているのでしょうか?

NRI: 従来の当社は、コンサルタントやシステムエンジニアなど、理系的で分析をする人が多かったと思いますが、デジタルの時代は、直感や感性が求められる人材、たとえば、UX(サービス利用時の顧客体験)のデザインができる人や、AI技術の生かし方のセンスがある人も必要です。そういった面で多様性を重視し、多様な人材の強みを活かそうということが経営方針の柱の一つになっています。また、若手の方々がどんどん減っていく中、少子高齢化も踏まえて、会社としても選んでいただく会社になっていかないといけない。そういう意味でも「いろんな人が活躍している会社なんだ」と思ってもらうことが、新卒の採用にもキャリアの採用にもつながっていくので、それはすごく大事だと考えています。

クオレ: 私(稲尾)も以前いた会社で、NRIの市場調査データなどを購入していました。未来分析などで随分お世話になった記憶があります。そこから見ると、貴社のビジネス領域はだいぶ広がったんだなという印象です。
多様性、ダイバーシティ推進を大事にされているというのは、世の中の流れに合わせて、そのようになっていったのでしょうか。

NRI: そうかもしれないですね。会社の歴史を紐解くと、野村証券から、調査部門が独立し、コンピュータ部門も独立して、その両者が合併して今のNRIがあります。普通そのようにできた会社は、設立母体である野村証券向けの仕事をメインにするケースが多いと思うのですが、金融業だけではない流通業向けの事業に早い段階から取り組み、金融と流通業という二つの柱から事業領域が広がっていったというのはあるのかなと思います。

クオレ: 元々持っていたノウハウなどを生かしながら、そこを起点にして広げて行かれた。金融系企業とのビジネス以外にも拡充されたことで、実際に、ダイバーシティが職場の中で求められているということなのかもしれないですね。ダイバーシティ推進にはどれくらい前から取り組んでおられるのでしょうか。

NRI: そうですね。まず、2008年に女性活躍推進のための組織が出来ました。最初はワーキンググループとして社内の有志を集め、活動が始まりましたが、その1~2年後に人事部にダイバーシティ推進室という専門組織ができました。これがダイバーシティ推進課の始まりです。当時は、女性の仕事と家庭の両立がなかなかのチャレンジで、それをきっかけに辞める女性社員が、男性と比べて多い現実がありました。その状況への対策として長く取り組んだ結果、ライフイベントを機に離職する女性社員は減り、活動対象が女性・育児だけではなく男性社員向けの活動にも広がっています。

2017年に男性社員を対象とした、配偶者向け出産休暇(パートナー出産休暇)の制度を作りましたし、実際に男性社員で育児休業を取得する人も増えています。

現在の人事部ダイバーシティ推進課ができたのは、2019年の10月です。それまでダイバーシティ推進組織はいったん人事部から人材開発部主管となっていたのですが、管理職登用を行うのは、人事部なので、そういう背景から、ダイバーシティ推進の主管が人事部に戻りました。主管部の変遷はありましたが、会社としてダイバーシティ推進の取り組み自体は10年以上、やってきています。

実は、取り組みのテーマとしてハラスメントを取り上げる予定は、以前はなかったのですが、女性・育児以外のダイバーシティ推進テーマを検討したり、管理職の登用責任など、管理職の意識啓発・醸成を考えたりするうちに、この1~2年はハラスメントをテーマにする時期なのでは、という議論が組織内で上がるようになっていました。

クオレ: 女性活躍推進法の根底には、ハラスメント対策について触れられていて、私たちはハラスメントの方からダイバーシティとのつながりを考えてきていたので、ちょうど貴社と弊社が出会うタイミングがここであったという感じがしています。

ダイバーシティ推進の観点から、ハラスメント問題を学んでほしかった

クオレ: 弊社にご連絡をいただいた経緯をお聞かせください。

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NRI: 管理職向けのダイバーシティ推進セミナーのテーマを色々と考えていたなかで、女性・育児以外のテーマで何があるだろう?と思っていました。その時に、ハラスメントや世代間ギャップといったアイディアがいくつかありました。ハラスメントをテーマにセミナーをするとしたら?と考えていた時に、たまたま人事部の一男性社員が、クオレ・シー・キューブのセミナー(稲尾が登壇)に参加したことがあり、その評判のよさを耳にしました。そのセミナーでは所謂真っ黒なスーツを着ているような男性管理者の参加が多かったそうなのですが、セミナー参加者が「うんうん」とうなずいていたそうです。当社も管理職層に関してはまだまだ男性が多いため、そのように男性が聞いていて納得感があるハラスメント研修は魅力的でした。

テーマがハラスメントだったので、他の案としては、弁護士の先生や、判例を扱っている方とか、法律の専門家なども、検討したのですが、淡々と判例の話をされても、分かりづらいですし、「結局、自分はどうすればいいのか」となると、そこはちょっと難しいのかなと考えました。

クオレ: 今回のハラスメント研修の課題・目的はどのようなことだったのでしょうか。

NRI: まずは、2020年6月のハラスメントの法制化について、管理職として知っておくべきということで、そこはちゃんと会社としては押さえておきたいと思っていました。あとは、今の中間管理職・ミドルマネージャーは、上からも下からも、色々言われているため、彼ら自身が悩んでいるのではないかという仮説がありました。

彼らは、ビジネスの推進もしなければいけないので、同時にダイバーシティやコンプライアンス遵守を意識するのは大変だと思います。そうであれば、本社部門である我々がミドルマネージャーのためになるコンテンツを効率よく用意する必要があると思ったのです。「忙しくて、やっていられない」という声が、今にも聞こえてきそうで、効果的なものをまとまった時間で提供したいという思いはありました。

もともと会社の風土として、厳しい指導が少なくない会社ではありました。ただ、近年はだいぶ和らいでいます。そのため、厳しかった時代を知らない自分の部下たちと、厳しい指導が当たり前だった自分よりも上の、上司たちとの間にはさまれ、たぶん一番苦労していると思います。

ハラスメント問題は一人ひとり受け止め方が異なり、同じ部署に所属するメンバー間でも、その捉え方にズレがあります。なので、ミドルマネージャーとその部下とのズレは容易に想像できます。そういった中で、ハラスメントは受け手の気持ちなどにも感度を高くしておきたい一番難しいテーマ。その意味で今回クオレ・シー・キューブに依頼したマネジメント向けハラスメント対策セミナー(2020年2月20日実施 ※注)は、そのヒントを与えるコンテンツだと思います。

※注:新型コロナウィルス対策のため、規模縮小で開催。

トップ層のメッセージ「ゴールはダイバーシティ」にピッタリ合う研修だった

クオレ: 当日の様子も拝見していて、とても皆さん一生懸命に取り組まれていましたし、ディスカッションも盛り上がっていました。

NRI: 当日のアンケートで「自分の考えを2~3人で話し合う時間がとても良かった」という声をたくさんいただいています。また、本当に良かったのが、ダイバーシティ推進の視点で「多様性の否定がハラスメントにつながる」というお話が、研修が始まる直前の深美(代表取締役専務執行役員)からの話とすごくマッチしていたことです。

深美からは、自社内の調査結果を踏まえ、「真摯にハラスメント対策に取り組んでいきましょう」という話がありました。また、ハラスメント問題は、一方的に役員から管理職に「ちゃんとやれ」ということではなく、すごく難しいことは理解しているとエピソードを交えて話してくれました。

エピソードというのは、若手の女性社員が「怖い」「話しかけにくい」と思っていた部長に思い切って声をかけたところ、実は自分のキャリアのことをよく考えてくれていたことがわかったというものです。このことから、上司も部下もみんな悩んでいるんだと受け止めて、しっかりと考えた上で、どうすればいいか実践してほしい。ハラスメントは絶対やっちゃいけない事だけれども、恐れすぎてコミュニケーションや信頼関係の構築を損ねてはいけないと話してくれました。

そして、ハラスメントの研修は「あれはダメ、これもダメ」という後ろ向きの内容になりがちなのですが、「ゴールはダイバーシティです」と明示してくれる研修を求めていたので、そこも本当に良かったです。

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クオレ: 深美様はそういったところにしっかりとした信念をお持ちだと、事前の打ち合わせでお聞きしていましたが、やはり会社でハラスメント対策に取り組んでいくためには、そこが重要なポイントだと思います。いろんな会社とお付き合いさせていただくと、皆さんハラスメント対策は大事ですと言ってくださるのです。一方で、トップ層がその思いをご自身の腹落ちしたメッセージとしてきちっと伝えているかどうかが、その後の施策に大きく影響しています。

私(稲尾)が登壇した際、皆さん、「自分事としてこれをちゃんと持ち帰るぞ」という、そういう姿勢を感じました。演習での盛り上がりも、ただ面白くやっているというよりは、自分事として捉えていこうという心持を感じ、そこにフォーカスしたディスカッションがなされている印象で、やりがいを感じながら進めました。

NRI: 受け身での聴講ではなく、受講者には自分で考えてもらいたかったので、研修講師の立場からそういう印象を持っていただけたのであれば、何よりです。

クオレ: そういうディスカッションをする土壌があるのかなと思ったのですが、普段の研修はどのような感じなのでしょうか。

NRI: 講義形式がどうしても多いので、ワークがあったのは新鮮だったかもしれないです。改めて自分で考えたり、他の人の意見を聞けたのが良かったというフィードバックもありました。

クオレ: 研修は社内ではどういう形で告知されているのですか?

NRI: イントラネットに告知を出しています。本部による宣伝や役員クラスから「参加するように」というメッセージを出したりもしました。でも、ほとんどが自主的に申し込んでいたと思います。パワハラ法制化のキーワードもあったので部室長にとっては注目度も高かったです。

クオレ: 研修後のアンケートなどでの評判、評価、皆様のお声など、お聞かせいただけますでしょうか。

NRI: 定量的には、満足度5段階評価で「4.5」でした。あと、短期的有用度と中長期的有用度は、それぞれ「4.3」と「4.2」で、すぐに役に立つか、将来役に立つかというところも評価が高かったと思います。
高い満足度の背景には、トピックの網羅感やワークなどの評判が良かったことがあると思います。休憩なしで130分は長かったという意見もありましたが、でもそれほどまでに盛りだくさんで、役に立つ内容ばかりだったということと受け止めています。

クオレ: 研修内容のトピックなどは、NRI様からインプットをいただいて、クオレ・シー・キューブがもともと持っているコンテンツに落とし込んで、研修をしたという感じです。こういうタイミングで「ソジハラ」に触れましょう、など調整しながら、抜けのないように・・。話のスピードも私の中では駆け足感もありましたが、皆さん理解度も感度も高くて、回転も速い方々なので、手応えを感じました。

リーダークラスにも同様の研修が必要

クオレ: この10年くらいの間、女性の働きやすさは実感していますか?

Women's Network

NRI: はい、そこは数字で出ました。(NRIの女性活躍推進組織である)「NRI Women's Network」が発足して今年ちょうど10年の節目でした。隔年でアンケートを実施していて、初めてデータをとってから今年が10年目だったのです。過去の調査結果と比較してみたら、見事に女性は働きやすい、という回答が出ました。また、以前は配偶者が専業主婦という男性社員が多数派でしたが、大きく変わって、6~7割は共働き世帯です。また10年前の共働き世帯は、配偶者はパートタイムという方が多かったのですが、今はフルタイムの方が多いです。環境は変わりました。配偶者が専業主婦なのは年齢層が高い社員なので、若い社員はだいたい仕事と家庭の両立をしています。保育園の送り迎えは夫婦で、ですとか。仕事と家庭の両立を実践している社員を紹介するなどして、社員同士のつながりもできています。実際に職場復帰をされた方に相談することもできます。総じて「働きやすくなった」と実感している人は増加しています。

世の中が後押ししている働き方改革の影響もあると思います。男性社員もテレワークを活用してお子さんの送り迎えをするとか、そういうことをしやすくなっているのだと思います。仕事と家庭の両立は、もはや女性に限ったテーマではなく、逆(男性の両立)の課題が出てきているということなので、それをマネージャーのほうでも考えていくということかと思います。

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クオレ: これまでの活動が今、実を結んでいるのですね。ダイバーシティに関しては、自分自身が当事者意識を持たないとなかなか先に進まないと考えています。さまざまな企業の施策を見ましても、そこにひとつのハードルがありそうな感じがしていました。貴社の場合は、そこはうまく進んできた感じでしょうか。

NRI: どうでしょう。進んでいくといいなとは思っています。アンケートでも、一度の研修はすごくためになるけれども徐々に薄れていってしまうので定期的に研修をやって欲しいという意見ももらっています。

例えば今回のハラスメント研修では役職付きのマネージャーが対象でしたが、部下がない、管理職層ではないけれどもリーダー業務を担っている者もいますので、そういう人にもセミナーをやるといいのではといった話も出ています。

クオレ: 具体的な指導の部分となると、リーダー業務を担う方になりますよね。

NRI: はい。その層がハラスメント問題を自分事にするためには、繰り返し続けていかないといけないので、今回の研修のインパクトをきっかけに、継続性というところは考えていきたいです。

クオレ: 最初の着眼点が、管理職が悩んでいるんじゃないか?というところがスタートになっているということは、その視点を下の階層に移していくと、理由は違えども同じように悩んでいることがあるのではないかと思います。

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NRI: 研修内容の事例を変えていけば、それぞれの対象者にマッチした内容での研修ができるように思います。今回も、もしかしたらリーダークラスが聴いたら、上司との関係もこうすればいいんだ!話せばいいんだ!といった気づきにつながるかもしれないと思います。ハラスメント問題は双方向で考えないといけないと思います。女性社員も、「話してくれない」と受け身にならずに、自分からいけばいい。部長の側は難しくて、男性部長と女性社員、二人で飲みに行くとなると非常に気にされると思うのですが、一社員の相談に部長が乗るために、上司と部下が近くでご飯に行くのは普通のことです。やはり「双方」なので、上司・部下の健全な関係が出来ているか、コミュニケーションができているかがポイントで、その阻害要因が「ハラスメント」というのが、今回の流れでした。

クオレ: そのように受け止めて頂けたことは本当にありがたいです。私たちが一番お伝えしたいところを真正面から受け取って頂けたと思います。非常にやりがいがあり、達成感もあります。これから取り組んでいかれる課題などについては、いかがですか?

NRI: 今、ダイバーシティ推進課では、女性・育児だけではない、他のテーマにも取り組んでいこうとしているところです。これから介護に関わっていく可能性のある社員が増えるので、そういった方面への打ち手ですね。また、キャリア採用に力を入れている中で、職場風土アンケートを実施した際に、本部をまたいで異動した人に対して冷たいところがあるのではないか、キャリア入社で入った方は新卒で入った方と比べると疎外感があるのではないか、といった声があったので、そういう人たちも含めていく、インクルージョンする取り組みを考えています。本当の意味でのダイバーシティ推進、インクルージョン推進をやっていこうとしているところです。

野村総合研究所様

クオレ: 私たちは誰もが、頭で分かってはいても、反射的なアンコンシャスバイアスなどもあるように思います。みんながそういったものを持ちながら、一人ひとりの多様性「インナーダイバーシティ®」を豊かにしていくことを私たちはお勧めしています。自分自身が多様な側面を持っていることに気づき、受け入れ、他者の多様性を認め、受け入れ、共に働く。そのような職場が「ハラスメントフリー®な職場」と言えるのかもしれません。本日はありがとうございました。

(文責:クオレ・シー・キューブ)

〔2020年3月現在〕

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