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ハラスメント対策の導入事例・実績一覧富士火災海上保険株式会社 様

導入事例富士火災海上保険株式会社 様

富士火災のパワーハラスメント防止についての取組み

パワーハラスメントという言葉は、いまや世間に浸透し、一般用語として定着しつつあります。しかし、企業や組織内でのパワーハラスメントへの具体的な取り組みは、やっと始まった段階ともいえます。今回は、「富士火災海上保険株式会社様」の社内でのパワーハラスメント防止についての取り組みをご紹介いたします。 なお、本原稿は(財)滋賀県人権センター発行の情報誌「じんけん」2007年5月15日発行に寄稿されたものを、著者である 富士火災海上保険株式会社 人権推進部 大西英雄様のご承諾をいただき、一部改編したものです。

富士火災
富士火災海上保険株式会社 様
  • パワハラ
  • 研修

人権推進部 大西英雄 様

はじめに

職場におけるパワーハラスメントは、個人の人格や尊厳を傷つけ、従業員の能力発揮を妨げるもので、企業にとっても、職場秩序が乱れ、企業イメージの低下や信頼を失うなど、多くの損失をもたらす問題である。健全な職場づくり、元気のでる明るい職場づくりのために、パワーハラスメントについて正しく理解することが重要である。

今回、富士火災での『パワーハラスメントのない元気のでる明るい職場づくり』のための取組みについて報告する。弊社では以下の方針に基づき取組みを実施している。

  1. 経営トップがパワーハラスメント防止についてメッセージを発信する
  2. 会社の行動規範にパワーハラスメントの防止について記載する
  3. パワーハラスメントについて正しい知識を広める研修を行う
  4. 相談窓口を開設し被害者が気安く相談でき且つ信頼できる体制であること全従業員へ周知徹底する
  5. アンケート調査を行いパワーハラスメントの被害実態調査を行う
  6. そのアンケート調査結果をテキストにしてパワーハラスメント防止研修を再度行う

1.社長のメッセージ

弊社では各部門が、経営委員会(社長、副社長、社長室担当役員、監査担当役員)に各部の活動の報告をしなければならない。人権推進部で、2005年度の人権研修のテーマと実施状況、人権問題事象の相談件数などを報告したところ、社長より「セクシュアル・ハラスメント及びパワーハラスメントをなくしていくために、役員・執行役も研修を受け理解を深め、管下の管理職に対して指導ができるようにしなさい。」と指示があった。このように弊社では、経営トップ自らセクシュアル・ハラスメント及びパワーハラスメント防止について、積極的にメッセージを発信している。

2.行動規範

社長がセクシュアル・ハラスメント及びパワーハラスメント防止に対する明確な意思表示をしているが、富士火災行動規範にも法令遵守を徹底するとともに、以下のように人権を尊重し、社員が安心して働ける職場づくりがうたわれている。

人権の尊重

セクシュアル・ハラスメントの防止

パワーハラスメントの防止

3.役員人権研修

企業に人権意識を浸透させていく上で、一番重要なのは役員研修である。弊社の役員研修は年1回(90分間)、「経営者としての人権学習」というテーマで、社外講師を招いて行っている。役員が企業内での人権課題を理解していないと、企業は利益第一へ走ってしまう。経営トップが人権についての問題意識をしっかりもてば研修や取組みがスムーズに行われる。

2006年度の役員・執行役・本部長を対象とした役員人権研修は「パワハラ(パワーハラスメント)のない職場づくり」をテーマに講師として、『パワーハラスメント』についてわが国で初めて問題提起された、株式会社クオレ・シー・キューブ代表取締役 岡田康子さんをお招きして実施した。

 

社長は研修後に『幹部役員にとって、パワーハラスメントとはなにかを再認識できる機会であった。多様なケースに慎重に対応する好事例であった。』と感想を述べている。

また、人事担当役員は『パワーハラスメントに対する、正しい理解と認識ができた。さすがにパワーハラスメントという言葉を創った講師の話は、極めて現実的、実践的でありパワーハラスメントの何が問題か、またパワーハラスメントをなくすためのポイントを的確に示してくれた。会社は従業員が快適に働けるように職場環境を管理する義務があり、役員、幹部社員がこのような研修を受け、パワーハラスメントに対する意識を高め、管下それぞれにおいてパワーハラスメントのない職場づくりの取組みを期待したい。さらに、パワーハラスメントと仕事上の注意・指導の境界は難しいが、自身の言動が部下社員や相手にどのような影響を与えるか、人権という視点で考えることが大切であると認識できた。』と述べている。

4.管理職人権研修

管理職を対象に、2004年度に引き続き2006年度にも『するな!パワーハラスメント』というテーマで人権研修を行った。この研修は、管理職が加害者にならないように、またパワーハラスメントの何が問題なのかを学ぶことを目的にした。合わせて、「パワーハラスメントの定義」「パワーハラスメントの方法」「厳しい指導とパワーハラスメントの違い」などを徹底した。

5.人権相談に対するホットライン

人権問題(パワハラ・セクハラ(セクシャルハラスメント)・いじめ等)の被害者などが、自らの部署で事態の解決が図られないと感じた場合、ホットラインによる相談が可能で、窓口は人事部健康管理室あるいは人権推進部にて行うようにしている。人権推進部は、通報内容に関して調査を行い、その調査結果は通報者および経営委員会・監査委員会に報告することが義務付けられている。なお通報者の保護に関しては、万全を期している。

6.研修を行った後のパワーハラスメント相談について

2004年上期まではパワーハラスメントの研修を実施していなかったので、人権相談窓口であるホットラインや人権推進部にはパワーハラスメントの訴えはなかった。

しかし、2004年度の下期に研修を行った途端に3月末までの半年で8件、2005年度には9件の相談があった。2006年度にも12件の相談があった。内容としては、身体的暴力を受けたという相談はなく、「できが悪い」「役立たず」等部下社員の人格を否定するといった精神的暴力の訴えがあった。また、中には「使えない奴だ」「お前がいることが会社は迷惑だ」と退職を促す発言もあった。こういった上下関係のパワーハラスメントだけでなく、同僚間のいじめ問題についての相談もある。

しかし、2006年度の相談内容としては、パワーハラスメントというよりは業務面の注意をパワーハラスメントと感じて相談に来るケースが増えてきた。

相談窓口である人権推進部は直ちに相談者と連絡をとること、社外で会うことを原則としている。何時でも(曜日や時間に関係なく)、何処でも(北は北海道から南は九州沖縄まで何処へでも)、相談者の希望に沿って、面談を行う。その面談の中で、今後の対応について相談者の意向を聴き、加害者との面談を行うかどうかなども決めていく。また、加害者との面談の中で相談者にも課題がある場合には、相談者にも人権推進部として課題解決について話をする。

相談者から、「人権推進部に訴えるということは、会社に居づらくなり退職することになるかもしれないと覚悟していたが、二次被害の防止等の取組みを聞き安心した。こうした組織のある会社で良かった。今後も仕事に頑張りたい。」 と連絡をもらったとき、信頼されていることを感じた。

7.パワハラアンケート調査

職場でパワーハラスメントの被害にあったことがあるか、身近に見聞きしたことはあるか、どのような行為を職場のパワーハラスメントと思うか、職場のパワーハラスメントにあった場合どのような行動をとるか等、職場のパワーハラスメントについての実態についてのアンケート結果を踏まえて研修することが有効だと思う。それは、現実に身近で起きている問題であること、男性と女性の感じ方の違い、被害の深刻さなどを知ることによって、パワーハラスメントを自分の問題として取り組む姿勢や熱意を高めることができるからである。

おわりに

パワーハラスメントの実態調査を2007年度に行い、その結果をテキストにして人権研修を行う予定であるが、今までの取り組みで見えてきたものもある。

社長がパワーハラスメントの防止ついてのメッセージを出したり、役員人権研修のテーマとしてパワーハラスメントのない職場づくりが選ばれたことを社員が知ることによって、会社が本気でパワーハラスメントに取組んでいることを感じている。また、そのことによって、パワーハラスメントについても、安心して相談できるということが浸透してきている。

人権問題(パワーハラスメント)の取り組みは対策型であってはならないと思って取り組んでいる。その取組みの目的は、健全な職場づくり、元気のでる明るい職場づくりであり、その結果として職場秩序が乱れ、企業イメージの低下や信頼を失うなど、多くの損失をもたらすなどの経営リスク及びコストの最小化を図ることができると考えて取り組んでいる。

<参考文献>
岡田康子編著
2004 「上司と部下の深いみぞ パワーハラスメント完全理解」 紀伊国屋書店
岡田康子
富士火災役員人権研修資料「パワハラのない職場づくり」

〔2007年現在〕

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