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コラムハラスメント問題の相談を受ける際、アサーティブな対応は、どのような場面で活かせるか

ハラスメント問題の相談を受ける際、アサーティブな対応は、どのような場面で活かせるか

Qハラスメント問題の相談を受ける際に、自分の意見や考えを適切に伝えるアサーティブな対応は有効だと思いますが、実際どのような場面で活かせるでしょうか。
Aアサーティブな在り方は、日常生活や仕事の様々な場面で役に立ちますが、ハラスメント相談を受ける際にも、大いに役立ちます。今回は、相談場面でのアサーティブな方法について、お話します。

何度も繰り返していますが、アサーティブの目指すところは‘自分も相手も大切にするあり方’です。相談場面に置き換えれば、‘相談を聴く側も、相談をする側も、大切に’ということです。特に、相談を受ける立場では、『被害を受けた人の話は、とことん聴かなければならない』と思い込んで、面談時間の1時間を大幅に過ぎて、3時間も4時間も聴き役に回って疲れ果ててしまう、ということが起こりがちです。しかし、これでは‘自分を大切に’という目標を達成できません。そして、長時間にわたる面談は、結局のところ話に集中できず、問題は解決できず・・・と、相談者にとってもデメリットが大きくなります。つまり‘自分も、相手も、大切にできていない’ということになってしまいます。

こんなときは「面談予定の1時間を過ぎて、私は疲れてきました。また別の時間にお話を伺えませんか?」と、自分の気持ちに率直になることも大切です。無理をして何時間も聴き続ければ「本当はちゃんと聴いていないんじゃないか?私だって疲れてるのに、この人は大丈夫なのかな?」と、相談者が余計な心配をすることもあります。また、依存的な相談者の場合は、過度に頼られてしまい、問題解決が難しくなる場合もあります。率直に今の気持ちを伝えることで、「正直に気持ちを伝えてくれる人だ」と、相談者は安心して、お互いの信頼関係を強めることもできますし、依存的な人に対しては「この人に、際限なく甘えてはいけないんだ」という自覚を促す効果も期待できます。

ただし、ここで注意が必要なのは、‘何が何でもアサーティブに伝えなければならない’のではない、ということです。アサーションを考えるときに重要な‘基本的アサーション権(*詳しくは下部参照)’においては、‘私たちは、自己主張しない権利もある’ということを、保障しているからです。

例えば、ハラスメント相談の場面では、一番重要な被害に遭った場面の話が、ちょうど面談時間の最後に語られることも出てきます。こんなときに『アサーティブに伝えなくちゃ』と焦って、「今ちょうど一時間なので、その話は次回に・・・」と伝えては、今度は‘相手を大切に’という目標が達成できなくなります。相談の流れの中で、一番大切な場面が台無しにされては、せっかく築いた信頼関係もなくなってしまいます。

そんなときはさりげなく「今、一番大切なお話を伺っているところだと思います。あと30分ほど面談時間を延ばしましょうか」と、柔軟に対応することも、アサーティブな対応なのです。なぜなら、アサーティブとはつまり‘自分の意思で決め、その結果について自ら責任を取る’ということだからです。状況の変化に合わせて、自分の意思で、自分の今の気持ちを伝え、そして相手の気持ちを受けとる、という作業を繰り返すことで、本当にお互いを大切にするあり方を掴んでいく、その過程がもっとも大切なのです。

相談の場面では、被害を受けた相談者の話を聴けば聴くほど、相手の話に引きずられたり、反対に自分の頭の中で問題解決を急いでしまったりすることがあります。そんなときこそ‘自分にとってのアサーティブなあり方とは何だろうか’と、少し客観的に自分を捉えられるといいですね。

最後に、途中でご紹介した「基本的アサーション権」をご紹介します。

  • 私たちは、誰からも尊重され、大切にしてもらう権利がある
  • 私たちは誰もが、他人の期待に応えるかどうかなど、自分の行動を決め、それを表現し、その結果について責任を持つ権利がある
  • 私たちは誰もが過ちをし、それに責任を持つ権利がある
  • 私たちには、支払いに見合ったものを得る権利がある
  • 私たちには、自己主張しない権利もある
  • 一人ひとり人が、これらのアサーション権を意識することで、深刻なハラスメント問題を予防できるのではないか、と考えています。
(参考文献)
アサーショントレーニング~さわやかな<自己表現>のために~ 平木典子著

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