アーカイブハラスメント問題

ハラスメント問題第8回 パワハラを受けないために  ~自分を相手に伝えよう~

こちらのアーカイブは、職場のハラスメントに関する解説を事例などを交えて記載しています。パワハラ・セクハラ防止研修の教材や職場におけるハラスメント防止の啓発ツールとして、出典を明記の上、ご活用ください。
(出典記載例:株式会社クオレ・シー・キューブホームページ)

知っていますか これもハラスメントです

第8回 パワハラを受けないために  ~自分を相手に伝えよう~

吉沢秋子さん(仮名)は人と関わるのが苦手で、一人こつこつと仕事をする方が好きなタイプだが、子育てが一段落して再就職したアパレルメーカーで、販売部門に配属され、接客の仕事に就いた。

コミュニケーションセミナーなどに積極的に参加し、苦手意識の克服に努めたが、成果重視の上司に認めてもらえず、毎日のように嫌味を言われた。「バイトの子の方がまだマシ」、「会社に必要ない人間」と皆の前で罵声を浴びせられた。

伝えたいことはあるのに、上司の前で体が強張り、萎縮して言葉にならなかった。「どうして私ばかりこんな目に合わなくてはならないのか…」と悩む日々が続き、体調まで崩した。「もう我慢の限界」と1年足らずで退職。

就職活動する今も、「会社に必要のない人間」という上司の言葉が忘れられず、「あれはパワハラだったの?」と思う時もある。突然涙が出てきたり、胸が苦しくなったり気分も体調も安定せず、「再就職してもうまくやれるのか?」と不安な毎日を送っている。

~自分を表現しよう~

伝えたいことがあるのにそれを伝えず、あるいは伝えられずにいると、「自分の意見や主張がない人」、「納得のいく説明ができない人」と受け取られ、この状態が続くと相手の言動がどんどん攻撃的になっていくことがあります。

吉沢さんの場合、「自分は必要とされないダメな人間」と落ち込んだり、「ハラスメントかもしれない」と相手を恨んだりする不幸な結末を迎えました。 力関係が優位の相手に対して発言することは、かなりの勇気が必要ですが、伝えるべきことを我慢し溜め込んでいくことで、結局は自分が傷つくだけではなく、対人関係の溝を深め、協働する上で必須の信頼関係が築けません。

人格まで傷つけられる言動に対しては、相手に「こんなことを言って悪かった」と気づいてもらうよう、嬉しいことは嬉しい、嫌なことは嫌、と感じる気持ちを大切にし、それを上手に伝えていく、こちらからの働きかけも必要です。そのちょっとした日頃の心がけが、ハラスメントから身を守ってくれるのです。

*当原稿は、中央労働災害防止協会発行【安全衛生のひろば】2009年8月号に掲載されたものです。

相賀 裕美子/岡田 康子

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