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コラム国としてパワハラ問題を法制化する計画があるのか?

国としてパワハラ問題を法制化する計画があるのか?

Q  2012年厚生労働省から「パワハラ(パワーハラスメント)の定義」について発表されました。現在、国としてパワハラ問題を法制化する計画はあるのでしょうか。
A 昨年の夏から開催されていた、厚生労働省で行われていた「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」は、3/15に第三回目の会合を開き、最終的に「職場のパワーハラスメントの予防・解決に向けた提言とりまとめ」を発表しました。行政としてパワーハラスメントという概念を示したのは今回が初めてのことで、各方面からも注目を集めています。

そもそも、パワーハラスメントという言葉は、弊社が2001年に創った造語であり、2003年頃に急速にその言葉の認知が広がったものの、‘何がパワハラにあたるのか’についてはその線引きがあいまいなまま、これまで使われてきた側面があります。このことにより、被害を受けた側が自分の都合のいいようにパワハラという言葉を使ったり、反対に「パワハラなんて言うから、ちゃんとした指導ができないんだ」という行為者側の方便に使われたりしてきました。

しかし、ここ最近の職場のうつ問題や長時間労働による自殺など、メンタルヘルス問題が深刻化してくると同時に、この‘パワハラとメンタルヘルス’の関連性が無視できない状況が続いています。またその流れを受けて、精神障がいの労災認定基準も見直されていることから、国としてもこの問題に取り組まなければならないという機運が高まっていたことが、この提言をまとめるうえでの背景となっています。

円卓会議では、この問題について詳しく議論するためのワーキンググループをたちあげ、実質的な議論はこちらで行われました。先駆的な企業の取り組みや、専門家の意見を聴くなど、6回の会合を開き、提言のもととなる報告書を1/30にまとめました。この議論の中で「職場のいじめ・嫌がらせ」という事象と、「パワーハラスメント」という事象について、いったい何と呼んだらいいのか、ということがかなり議論されました。

パワーハラスメントという言葉が国際的に通用する用語なのかどうか、あるいは‘パワー’という言葉をつけるとどうしても「上司→部下」のイメージが付きまとい、同僚間で行われるようないじめや嫌がらせが含まれないような印象が残ってしまうのではないかなど、この言葉をめぐる議論はさまざまでした。最終的には、すでにこの言葉が市民権を得ていることや、職場には上司が持っている力だけでなく、集団の力や専門スキルの力など、さまざまな職場内のパワーがあることを含めて‘パワーハラスメント’という言葉を用いることになったのです。

これにより、上司から部下に対するもの以外にも、同僚間のいじめや嫌がらせ、あるいは部下から上司に対する嫌がらせも、パワーハラスメントに含まれることになりました。弊社では従来から上司からのもの以外もパワハラと呼んでいましたので、その概念がやっと一般化されることになったと思うと、感慨深いものがあります。

一方で、この提言から一気に法制化に向かうかというと、まだその段階ではないと考えられます。3/15の会合でも、「この提言はパワーハラスメント問題の第一歩だ」という認識で一致しており、今年度の円卓会議では、これらの問題に対する関心や機運を高めることを目的としていた面があります。来年度以降も実態調査やポータルサイトの開設・運営などを通じて、継続的な啓発活動を行っていく予定になっています。

その意味で、企業に対してすぐに対策を義務付けることにはなりませんが、今後は提言にもあるように、少なくとも早い段階で‘この職場ではパワーハラスメントを許さない’というトップからのメッセージを出すことと、トップが自らそのような言動を行わないという範を示すことは必要でしょう。セクハラ同様、パワハラも含めたハラスメント問題に取り組むことは、今後の企業経営の中でますます重要となっていきます。。

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