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ハラスメント相談の現場からVol.7 あなたの部下指導は北風、それとも太陽?

Vol.7 あなたの部下指導は北風、それとも太陽?

スポーツ界での指導・育成の域を超えたイジメや暴力問題がマスコミを賑すようになりました。“勝利”という単純明快な目標達成に向かって指導者が選手たちに厳しいトレーニングを課し、体罰や暴力に発展することはめずらしくなく、むしろ“必要悪”として黙認される風潮すらあります。背景には、勝つことは選手自身のためであり、そのためには過酷な練習を耐え忍ぶのは当然だというゆるぎない信念があるのです。言い換えれば、過酷な練習や体罰は通過儀礼であって、耐えられない者は「根性がない」、「精神がたるんでいる」弱者に他ならず、「根性やたるんだ精神を叩き直すために」制裁が加えられて当然、という思考パターンです。こうして指導者が北風を吹かせば吹かすほどに選手たちは身を縮め、さらに風力が増していく悪循環が生じるのは火を見るより明らかでしょう。

企業のハラスメント問題も同様のメカニズムで説明できます。
A氏は、上司のB氏が日頃から口にする「お前のために言っている」の言葉が素直に聞けなくなっています。というのも、高いノルマ達成へあと一歩というところまで必死で頑張ったにもかかわらず、皆の前で名指しで「努力が足りない」、「死ぬ気でやれ」と怒鳴られたり、締切が重なって残業の多い月は「ノロマだから」、「給料泥棒」と罵倒されたり、の毎日がここ数か月続いていたのです。「本当に自分を育てようとしてくれているのか?」、「上司のストレスの吐け口に使われているだけでは?」と、相談室にあらわれたA氏は憔悴しきった表情で大きなため息をつきました。

「根性」、「やる気」など、抽象的な言葉を並べ威嚇しても指導にはなりません。相手の良いところはどこか、課題はどこかを冷静かつ客観的に見きわめ、相手に分かるよう具体的に丁寧に話題提起し、胸襟を開かせるところから人材の育成が始まります。そこには、否定的感情が入り込む余地はないはずです。北風を吹かせるだけでは部下の能力発揮に至らないばかりか、上司自身がかかえる“ノルマ達成”へのプレッシャー解消にはつながりません。

(株)クオレ・シー・キューブ 志村 翠 (2015.09)

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