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ハラスメント相談の現場からVol.58 第三者ができること

Vol.58 第三者ができること

この6月から施行予定の『パワハラ防止法』受け、“対策”としてもっとも多く聞こえてくるのは、「危なそうなことはやらない」、すなわち「関わりを最小限にする」という“雉も啼かずば撃たれまい”作戦です。ハラスメント当事者になりたくないのはもちろん、周囲でたまたま見聞きしてしまったばっかりに下手に巻き込まれるのは真っ平ご免、と見て見ぬ振りをしようとする“君子危うきに近寄らず”作戦、どちらかに加担したと受けとられたくないがために明確な態度表明をせずのらりくらりと曖昧な反応でお茶を濁そうとする“風見鶏”作戦など。いずれにせよ、責任回避の保身策ばかりがクローズアップされるようでは職場の空気は濁り、酸欠状態に陥るのは目に見えています。

某製造会社営業部に勤務して4年目のAさんは、昨春入社したBさんへの指導を2年後輩のCさんと一緒に担当することになりました。Bさんは仕事熱心で物怖じしない性格で、「期待の新人」でした。そんなBさんがある日、社内窓口に訴え出たのは、「Cさんからのセクハラ」でした。その内容は「身体的特徴をからかわれ傷ついた」というもの。驚いたCさんは「確かに話題にすることはあるが、Bさんが自分から軽口で言い出したことへ冗談で返しているだけ」と反論し、「傍にいたのにCさんを注意しなかった」と槍玉に上げられたAさんは「日頃から和気あいあいと仕事している」、「また二人でふざけているんだと思い、水を差すのはいやで注意しなかった」と弁明しました。

ハラスメント案件には多くの場合、「第三者」と呼ばれる立場が存在し、その第三者が果たす役割如何でその後の展開が大きく変わると言われています。職場での話題としておよそ相応しくないBさんとCさんの会話を傍で聞いていたAさんは、「仲間意識」が思わぬ邪魔をし、読まなくても良い空気を読んで傍観者に徹してしまいました。

上下関係が明確であれば、上から下へ注意することに壁はないはずです。しかし、逆に部下が上司に対し何らかの対応を迫られる状況もまれではありません。この場合、ハードルは一気に上がり、意図せず部下が上司の行為に加担するハメになってしまうこともあります。上司の行為に、「それはダメです」、「止めて下さい」など直接、カードを切る勇気はなくとも、相槌を打たない、賛同しないことで消極的抵抗は示せるでしょう。また、話題を変えたり、被害者をサポートしたりすることで、場面転換の役割を果たすことができるかもしれません。

職場のハラスメント対策に加え私たちが取り組まなくてはならないのは、一人ひとりの中に潜む、関わりを避け責任を回避しようとする心理です。「今、この状況を改善するために自分には何ができるだろうか?」と考え、できることを確実に実行に移すことでハラスメントフリーな職場に一歩近づいていくのです。

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