ハラスメント相談の現場からVol.47 「白」か「黒」か、ではなく

Vol.47 「白」か「黒」か、ではなく

「白黒つける」、「一か八か」、「二者択一」など、物事にスッキリ明快な答えを与える表現はいろいろあります。決算の数字を一円単位で合わせる、達成目標を設定する、などはこれに近く、大勢で誤解なく共有できるメリットがありますが、人が関わる話になると、そういうわけにいきません。

職場のハラスメント対策やハラスメント相談窓口の担当者からよく聞く話として「被害者から “ハラスメントについて相談・通報したが、会社の最終判断に納得できない” と言われてしまった。」ということがあります。

一般的にハラスメント関連の相談や通報など事案が発生した場合、会社によって担当となる部署や具体的なやり方に多少の違いはあるとはいえ、当事者への事実確認調査の後、社内のしかるべき機関が最終判断を行い対応するのが標準です。

しかし、こうしたプロセスが終結した時点で「問題解決」となるでしょうか?残念ながらそれは拙速であると言わざるを得ません。なぜならば「ハラスメントなのではないか?」といった相談・通報に対する回答が「白」(ハラスメントはなかった)と判断されたとき、”被害者”と”行為者”との間にある齟齬は残されたままだからです。それにとどまらず ”ハラスメントがない” にもかかわらず ”被通報者”・”通報者” の関係になった上司・部下の関係が悪化したり、上司・部下だけでなく周りも仕事がやりにくくなったといった話も聞きます。

こうしたことから、このように「ハラスメントではない」と会社が判断した問題は、”解決済み” と片付けてしまわず、その職場には「人間関係やコミュニケーションの問題がある」と気に留めたうえで対策をとることが職場全体の円滑化につながると考えます。ハラスメントは「白」でも人間関係を含め職場環境は「グレー」、それをかぎりなく「白」に近づけるのは会社の重要な責務であり、小まめな職場フォローを継続することが必須課題です。

ハラスメント対策担当者は「この職場では、なぜこれがハラスメントで、これはハラスメントでないのか」ということや「誰もが働きやすい職場とはどのような職場なのか」を日頃から職場全体で考える土壌を提供するとよいでしょう。”担当部署” や ”上司” など特定の誰かにその責任があるわけではなく「全員が良い職場をつくる」という意識の共有こそが、誰もが働きやすいハラスメントフリーな職場につながります。

(株)クオレ・シー・キューブ 志村 翠 (2019.02)

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