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ハラスメント相談の現場からVol.53 AIに逆立ちしてもできないことは?

Vol.53 AIに逆立ちしてもできないことは?

AI(人工知能)やRPA(ロボットによる業務自動化)など、アルファベット省略形の用語が飛び交うようになったのは、ここ数年のことです。将来的な具体的活用法やそれによって私たちの仕事や職場はどう変わっていくのか、どういう作業がAIに任せられ、どういう業務が人間でなければできないのか、という「働き方」や「住み分け」が、もっとも関心の高いところでしょう。

某企業の研究所で先端技術のチーフとしてプロジェクトをまとめているA氏は、組織の壁を超えてその分野では知る人ぞ知る研究者です。しかし、御多分に漏れずマネジメントが苦手。苦手なだけならまだしも、マネジメントの重要性について理解に乏しく、「苦手を克服しよう」と努める気配がみられません。部下とは、ほぼ日常的な業務の確認等のやりとりしかせず、仕事の催促、上がってきた結果の評価、それもダメ出しをするのみ。「まだ、できないのか」、「〇〇が間違っている」、「□□は、それじゃダメ、やり直して」など、ごく限られた会話のパターンで済ませてしまいます。最終的にはA氏が一人で仕上げてしまい、プロジェクトの成果として社内の評価を受けてはいるものの、それぞれ専門分野で研鑽を積んできた部下たちにしてみれば、「もっと任せて欲しい」、「否定されている気がする」、「どうせA氏一人の手柄になるのでやり甲斐がない」と憤懣やるかたなく、A氏への不信感は募る一方です。

数字を最新のものと差し替えたり、締切り期日をリマインドしたり、ミスを特定して警告を出したり、これらはおそらく人間ではなくてもプログラミングされれば、AIが得意とする作業でしょう。むしろ、AIに担当してもらった方がスムーズかもしれません。というのも、発信されるメッセージが、“感情”に修飾されないため、受け手側に抵抗なく入っていくだろうからです。逆に、現時点でAIには絶対に不可能なことは、人間関係の中に生じる感情を汲んだり、収めたり、宥めたり、すなわち取り扱うこと、そしてそれを業務や職場環境に活かすことです。部下のふだんとは異なる態度や空気を察知して声をかけ、話を聴き、最善の方策を一緒に見つけるプロセスを辿る、これは断然、人間にしかできない、もっとも得意なことの一つです。知識や技術だけではない、人間に特化され備わった能力が、今後ますます求められるのは間違いありません。

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