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ハラスメント相談の現場からVol.22 感情の動きは大切なサイン

Vol.22 感情の動きは大切なサイン

来年1月、育児・介護休業法および男女雇用機会均等法が改正され、育児や介護にまつわる職場での不利益な取り扱いについての防止措置義務が追加されることになりました。
思えば2016年はマタハラという耳慣れない言葉が次第に市民権を得、イクメン、イクボス、さらにはLGBTがクローズアップされた一年でもありました。グローバル化、ダイバーシティなど横文字もしきりに飛び交い、さまざまな “垣根” が取り払われていこうとする中、日々接する相談ではまだまだ “性別役割” の不自由さを感じます。その枷(かせ)となっているのは、「よけいな感情表出は抑制するべき」という、伝統的、社会・慣習的に男性へ期待されてきた “男らしさ” であり、それと対局にある「優しさ(母性、寛容さ)」や人に援助を求めるような「弱さ(甘え、可愛らしさ)」に代表される “女らしさ” です。これらの性別役割から逸脱することは、一般に男性の方が問題視される傾向にあります。そのため、男性は対人関係で “素の自分” を抑えがちになり、結果として親密な人間関係をもつことが困難になってきます。

ある管理職男性(50代前半)からの相談をご紹介しましょう。最近、360度評価で「部下の気持ちが汲みとれない」というマイナス評価を受けて以来、自信をなくしてしまいました。もともと理屈優先で自他の感情への気づきに乏しいタイプ。部下との関係も “ミッション重視” で個人的な会話(雑談)はほとんどなく、紋切り型の対応になっていたとのこと。しかし、部下からのコメントに非常に傷つき、その傷ついた気持ちを認めることに抵抗があったことに気づいたそうです。ここが大切なポイントだと私たちは考えます。傷つくことはすなわち、部下と良い関係がもちたい心情の表れだからです。
「感情的なものの言い方」のように、「感情的」という言葉には、理性を失って感情をむきだしにする、といったネガティブなイメージもあります。しかし怒りや喜び、悲しみ、などの感情は、個人の生存のために必要な情報であり、それをしっかり自覚して周囲に伝えるという、環境に適応する上で大切な心の働きでもあるのです。自分の中に生じている感情の動き(揺れ)に気づくこと、分かること(この例では、「部下からのコメントに傷ついていること」)は、問題解決への糸口(部下対応の見直し)へとつながる、大切なサインなのです。

(株)クオレ・シー・キューブ 志村 翠 (2016.12)

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