社外相談窓口

ハラスメント相談の現場からVol.36 先回りの功罪

Vol.36 先回りの功罪

私たちの言動を突き動かす原動力となっている「ドライバー」※についての第三弾、今回は「喜ばせよ」の話です。

某商社営業課長X氏(40代)は日々、苛立ちから解放されることがありません。昨日、大事な顧客との懇親会の仕切りを部下のY氏(30代)に前もって指示していたのに、Y氏は「何かと段取りが悪く」、結局X氏が進行役をやらざるをえなかったそうです。顧客の宴席での嗜好などもX氏は万事心得ているため、つい自ら先頭に立って接待することになり、Y氏の「気の利かなさ」に怒りのボルテージが上がってしまう、とのこと。Y氏に向かって、「いつまで私にやらせるつもりだ?」、「先、先に準備しておけって言っただろう」と叱責することが多く、Y氏は委縮してしまい自ら発想して行動する余裕がなくなっています。最近は、Y氏の持ち味である大らかさやユーモアのセンスがすっかり影を潜め、顧客からも心配の声が上がっている状況です。

X氏のドライバーチェックリストを見せてもらったところ、「喜ばせよ」がほぼ満点でした。このドライバーが高い人は「周りに気配りせよ」、「言われる前に行動せよ」というメッセージを自他に投げかけているのが特徴で、所謂「気の利く人」です。周囲へアンテナを張りめぐらし、「相手から期待されていること」、「相手が望んでいること」を敏感にキャッチして実践する能力に長けており、同じことを人にも求めてしまいます。X氏が誰よりも速く「顧客の要望」を察知し動いてしまうため、X氏の目にはY氏は「気の利かない部下」と映り、X氏とY氏の「残念な関係」は改善されることがありません。加えて、X氏の察知した「相手の要望」が、果たして「真に相手の望んでいること」と合致しているかどうか、吟味する機会がないことも大きな問題でしょう。先回りし過ぎてエネルギーを消耗(浪費)し、「気が利かない」と周囲にイライラを散布する前に、自らのアンテナの感度や方位をチェックし、省エネ対策も含めて賢い活用法を検討してみましょう。

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