ハラスメント相談の現場からVol.6 ひんやり職場の温め方は?

Vol.6 ひんやり職場の温め方は?

外では強烈な陽射しを逃れ、屋内では空調の直撃を避ける候となりました。職場ではいかがでしょうか?空調は調節が利きますが、気持ちの調整はむずかしいこともあります。
Aさんは1年前、現職場に異動し、直後は先輩が面倒を見てくれました。専門性の高い業務なので1年経っても緊張感が抜けず、独り立ちにはほど遠い心境で周囲のサポートが頼りです。私どもへ相談が入った前月、Aさんはミスをして取引先に迷惑をかけてしまいました。以来、皆の態度が変わりました。日常会話に入れてもらえなくなり、Aさんの仕事は必ず誰かがダブルチェックするよう業務フローが知らぬ間に変更になっていました。Aさんは孤立感に苛まれながらも、「自分が悪いんだから…」と言い聞かせて日々、過ごしている、とのこと。話の中でAさんは「うちの職場は“ひんやり”し過ぎている」と表現します。「ミスしてもフォローの言葉はなく、監視の目が増えるだけ」「一度ミスしたらずーっとダメ社員のレッテルを張られ、孤立させられる空気がある」と言います。
“監視の目”、“空気”は渦中の人間のみが感じるものであって、具体的に説明するのは困難です。Aさんの言う“ひんやり”はどこから来るか、考える中で見えてきたことがありました。人は、相手のダメなところを見つけ、自分が優位に立とうとする傾向があります。優位な集団の優位な一員でいたいのです。ミスの後、一緒に対策を検討したり、「大丈夫、次はうまくやろう」とフォローの言葉かけがあったら…。他者への関心と配慮の気持ち、それを言動に表す勇気、がひんやり職場には欠けていたのです。周りの誰かが「これって、おかしいよね」と疑問を抱くのが改善への第一歩。次のステップでは、配慮の気持ちを言葉にのせて表現してみる、そんな積み重ねが徐々にひんやり職場に血の通った温かい空気を流すことになるでしょう。それが結果的にミスを減らし、やる気と業務効率を上げることにつながるのです。

(株)クオレ・シー・キューブ 志村 翠 (2015.08)

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