ハラスメント相談の現場からVol.25 “場を活かす力”とは?

Vol.25 “場を活かす力”とは?

春爛漫、満開の桜並木を散策するカップルでごった返す平日の夕暮れ、とある花見の名所でのこと。華やいだ空気の中でひときわ目立つ風格のある中年紳士の3人連れが、何やら話をしています。A氏は天を見上げるようにして伸びをしながら、「あー、なんて気持ちの良い季節だろう」、「ほらほら見て、満開の桜がワーッと迫ってくるようだよ」と、雑踏には目もくれず、咲き乱れた花に夢中です。「桜ってバラ科なんだよ、知ってた?」、「日本三大桜の名所はね…」とB氏は知識の開陳に忙しく、周囲の景色には関心が薄そうです。眉間のシワが伸びたことのないC氏は、「それにしても、この人出は異常!」、「平日のこんな時間から花見にウツツを抜かしているから日本経済は衰退するんだよ!」と悲憤慷慨しています。

さて、この3人の部下指導のスタイルとは、どのようなものなのでしょうか?
A氏は、カラッとしたオープンな態度で接し、「厳しいこともはっきり言われるけれど、すぐにフォローがあるから嫌な気分が残らない」、「なぜかやる気にさせられる」と部下からコメントされています。博覧強記のB氏への周囲の評価はきわめて高く、「物知りのB氏に社内で敵う者はいない」と言われるほど。反面、陰で「クールに正論を突きつけられて追い詰められる」、「馬鹿にされている感じで委縮してしまう」と敬遠されているのも事実。いつもイライラしているCさんに対しては、「欠点の指摘しかしてくれない」、「話した後、いつもいや~な気分になる」と部下の不満も募ります。

花見の光景からもうかがえるように、物事の見方、とらえ方は十人十色。正解、不正解はありません。部下からの評価を待つまでもなく、3人の中でA氏がもっともマネジメント巧者であることは間違いないでしょう。
仕事であれ遊びであれ、“場の目的”を十二分に達成することのできる能力は不可欠であり、A氏はその力を備えた人です。花見の後には新緑の候、大事な能力に磨きをかけるには最適の季節がやってきます。

(株)クオレ・シー・キューブ 志村 翠 (2017.03)

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