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ハラスメント相談の現場からVol.35 “完璧にやれ”の功罪

Vol.35 “完璧にやれ”の功罪

前号に掲載しました「ドライバー」の第二弾です。私たちの言動を突き動かす原動力となっている「ドライバー」の代表格には、「急げ」、「完璧にやれ」、「努力せよ」、「相手を喜ばせよ」、「強くあれ」の5つがあり、今回は「完璧にやれ」を取り上げてみます。

某社営業部門管理職X氏について、部下たちから「絶対にミスは許されない」、「やってもやっても決して評価されることがない」の声が上がり、厳格な指導に職場全体がピリピリし、疲弊している実態が浮かび上がりました。「ドライバーチェックリスト」を見ると、「完璧にやれ」が突出して高く、X氏は「仕事というのはつねに最適、最善が求められて当然」、「たとえ顧客が90点で良いと言ったとしても100点を目指すべき」との仕事観を語りました。

話を進めるうち、X氏のつねに完成形を追及する姿勢は社内外で篤い信頼を獲得する大きな要因になってはいるものの、部下にかなりの負荷をかけていることが分かってきました。たとえば、プレゼンテーション当日になって新しいデータが公表されると資料の全差し替えは当たり前、顧客のニーズで目標設定していてもX氏のこだわり目線でのサービス追加は日常茶飯事、などなど。そうしたX氏の姿勢は部下の「できているところ」を見逃し、「できていないところ」にのみ焦点を当てる指導となって、「それで一人前のつもりか」、「死ぬ気でやれ」等、人格否定ともとられかねない言動を生むことになります。

「仕事とは…」、「プロフェッショナルとは…」と、X氏が長年考え抜いて実践してきたことは間違いではないとしても、妥協を許さず徹底して貫こうとすれば、部下との距離を広げ、溝を深め、信頼関係を損ねてしまうでしょう。

「完璧に仕事をこなす」というミッションは理想であっても非現実的です。また、失敗を恐れるあまり、往々にして「石橋を徹底して叩きまくる」、「怖いから石橋は渡らない」ことにつながり、思いきった決断・行動や独創的な発想の妨げになることがあります。物事は柔軟に、そして、「ほどほど」を忘れてはなりません。

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